お釈迦さまのいらっしゃったインドでは、暑さによる臭いなどを消臭するため、お香の粉末を撒布したり、体に塗ったり、焚いたりして、大切な方をお迎えする礼法が、昔からあったようです。お釈迦様を大切に思う仏教徒は、お釈迦様にお会いに行くときやお迎えするとき、香りにも特に気を遣われたのでした。お釈迦様を大切に思う気持ちを、貴重な、そして高価でもある香りを用意し、御供えすることで、尊敬の気持ち、大切な思いを具体的に形として表わしたのでした。こうした様式が仏教儀礼として定型的に取り入れらていった、、、お焼香作法の原型はこうした直接的なものだったと考えられます。
現代人が焼香をするのは、通夜や葬儀、身内の仏事に際してでしょうか。その時に懸念してしまうのは、どうも、前の方のを真似るのに手一杯になってしまっている傾向があるということです。形式にとらわれるだけの作法ならとてもむなしい行為ですね。私は、仏教徒が、お釈迦様への尊敬の気持ちを香りを御供えすることで表わしたように、「この人あればこそいまの私があったな」という感謝の思い、大切な思いを込め、香りを御供えしていただきたいと思うのです。お焼香は、大切な思いを形として表わすとてもすてきな作法です。故人への思いが、阿弥陀様への信仰、他力信心へと繋がっていくものでもあります。
煙に意味があるのではありませんし、やればいいのでもありません。作法の次第は少々間違えても、私はたいしたことはないと考えています。それよりは、この気持ちの部分が大切なされるべきです。自分が参加する仏事というのは、全く関係の無い方ではないでしょう。かけがえない方の仏事に違いありません。お心の部分をまずもって大切にして頂きたいです。
お心の部分大切にしていただいた前提で、作法についても次回触れていきます。よく「正式な作法を知っているよ」と言われる方がいらっしゃいますが、ご自分の宗旨の作法ではない、他宗の作法を知っている場合が多いです。仏教には沢山の宗派があります。それぞれの宗派に正式な作法があるため、「正式な作法」ってたくさんあるのです。
どうせ知っておくならご自身宗派の作法、「浄土真宗本願寺派」の作法を知っておいていただきたいものです。次回へ。
*イラストは「仏事あれこれ小百科」、2000年6月安芸教区基幹運動推進委員会発刊より。
浄土真宗本願寺派の焼香の作法です。西本願寺の作法はシンプルです。お香はおしいただかすず、1回です。「なもあみだぶつ」と声に称えます。
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